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富士山の自然 〜富士山ってこんな山〜

標高3,776m、日本最高峰の山である富士山は、日本を代表する独立峰でもあります。
富士山は、2,300万年前~500万年前に海底火山が噴火して以降、4回の大噴火を繰り返し、今日の形ができあがった成層火山です。
標高が増すごとに山腹の斜面の勾配も増し、美しい円錐形を描いている富士山は、南側の山麓は、駿河湾にまで及び、海面から山頂まで傾斜面が連続する成層火山としては、世界有数の高さを誇ります。
遠くから眺めると、裾野まで末広がりに伸びている姿は、美しさも日本一の山です。

位置

富士山は、最高峰である「剣ヶ峰」が日本列島のほぼ中央部に当たる北緯35度21分39秒、東軽138度43分39秒に位置します。
富士山は、フィリピン海プレート、ユーラシアプレート、北アメリカプレートの3つのプレートがぶつかりあう場所に位置し、さらにその下に東側から太平洋プレートが沈み込んでいます。富士山の成立には、この4つのプレートが相互に関わっていると考えられています。

現在の富士山ができるまで

富士山は、5つの地層から成り立っています。

①2,300万年前~500万年前 海底火山の噴出物が基盤層を形成
②約258万年前~約1万年前 先小御岳火山形成
③先小御岳火山の上に、組成・性質がまったく異なる小御岳火山を形成
④先小御岳火山と小御岳火山を基盤にした古富士火山を形成
⑤さらにそれらを覆うように新たに形成された新富士火山の各噴出物が堆積

富士山の山頂の火口部では、2,200万年前を最後に、爆発を伴うマグマ噴火を起こしていません。しかし、富士山域の特定の地域では、有史以降も活発な火山活動が続きました。
文献等から、1,200年前以降、少なくとも10期にわたり、山域における噴火が確認されています。

【噴火が確認されている時期】
西暦781年、800~802年、864~866年、937年、999年、1033年、1083年、
1435~1436年、1511年、1707年

富士山の特徴

富士山は、土台となる高い山の上に、主に玄武岩質から成る火山噴出物が堆積して、形成されています。火山噴出物は、山頂を中心として、半径約15~20km(最大約30~40km)の範囲にまで広がっています。火山噴出物が適度な粘り気を帯びていたため、富士山は、均整のとれた美しい傾斜面と広い裾野を持つ円錐形になりました。
富士山の山麓では、風穴や溶岩形等の火山特有の地形が見られます。風穴の「人穴」を中心に、その周辺に碑塔群が残されている人穴富士講遺跡や、船津胎内樹型、吉田体内樹型は、構成資産に登録されています。

人穴富士講遺跡

人穴富士講遺跡

船津胎内樹型

船津胎内樹型

また、富士山の溶岩流の末端部分には、富士山に降った雨が何年もかけて溶岩の間から湧き出しており、富士山は1日当たり約450~680万m³にも及ぶ豊富な湧水の源となっています。東洋一の湧水量を誇る柿田川は、富士山に降った雨や雪が地下に浸み込み、山頂から約34km離れた場所で地上に湧き出したものです。
富士山の湧水は、雨とともに、湖沼や湧水地・滝を形成し、白糸ノ滝や富士五湖、忍野八海は、世界遺産に登録されました。豊かな降水量を誇る富士山は、水の山でもあります。

忍野八海(底抜池)

忍野八海(底抜池)

白糸ノ滝

白糸ノ滝

風穴
一般的に大気の循環を伴う洞穴を指します。富士山における風穴は、溶岩の表面が固まった後に、内部の溶岩が流出してしまったために形成されたもの、溶岩が流れる際に、内部にガスがたまり、空洞ができることによって形成されたものがあります。
溶岩樹型
溶岩が流れる際に樹木を取り込んで固まり、燃え尽きた樹木の幹が空洞化してできた風穴です。
湧水
富士山麓の湧水のうち、南麓の柿田川(約100万m³/日)、湧玉池(14万m³/日)、西麓の白糸ノ滝(15万~16万m³/日)、猪之頭湧水群(12万m³/日)、北麓の忍野八海が有名です。

富士山の五合目に相当する標高約2,500m付近が、富士山の森林限界です。
五合目より上の区域は、夏の高温乾燥や冬の極度な低温により絶えず移動する火山砂礫に覆われた土地であり、生物の生育にとっては、大変過酷な環境です。
五合目より下の区域は、標高に応じて樹木の種類が異なる森林帯を形成しています。